「2倍・3倍の利益が狙える投資信託がある」と聞いて、興味を持つ方は少なくありません。でも、レバレッジ型ファンドは初心者にとって非常にリスクが高い商品です。
なぜ危険なのかを理解しないまま購入すると、大きな損失につながることがあります。この記事では、仕組みと注意点をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- レバレッジ型ファンドの仕組み
- 「逓減効果(ていげんこうか)」とは何か
- 暴落時の損失イメージ
- なぜ初心者に向かないのか
- どんな人向けの商品か
レバレッジ型ファンドとは
レバレッジ型ファンドとは、対象とする指数(S&P500など)の日々の値動きを2倍・3倍に増幅して運用するファンドです。
たとえば「S&P500の2倍レバレッジ型」であれば、S&P500が1日で+2%上昇したとき、ファンドは約+4%上昇します。反対に、S&P500が-2%下落したとき、ファンドは約-4%下落します。
逓減効果とは?
レバレッジ型ファンドの最大の落とし穴が「逓減効果(ていげんこうか)」です。
具体的なイメージ
元本100万円で2倍レバレッジファンドに投資したとします。
1日目:市場が10%下落
- 通常ファンド:100万円 → 90万円(-10%)
- 2倍レバレッジ:100万円 → 80万円(-20%)
2日目:市場が10%上昇(元に戻ろうとする)
- 通常ファンド:90万円 × 1.10 = 99万円(ほぼ元通り)
- 2倍レバレッジ:80万円 × 1.20 = 96万円
結果:同じ値動き(-10%→+10%)でも
- 通常ファンド:100万円 → 99万円(1%の損失)
- 2倍レバレッジ:100万円 → 96万円(4%の損失)
このように、上がったり下がったりを繰り返す相場では、レバレッジファンドは通常ファンドより価値が目減りしやすくなります。これが逓減効果です。
なぜこうなるか
- 100から10%下がると90
- 90から10%上がっても99(100には戻らない)
パーセンテージの計算では「下がった後に同じ率で上がっても元に戻らない」という数学的な特性があります。レバレッジをかけるとこの差が増幅されます。
値動きの組み合わせによっては、上下を繰り返すうちに、この差が広がっていくことがあります。
📉 逓減効果シミュレーション(-10%/+10%を10回繰り返した場合)
元本100万円で市場が-10%/+10%を10日間繰り返したシミュレーション。通常ファンドは95万円(-5%)に対し、2倍レバレッジは82万円(-18%)と3倍以上の損失になる。
暴落時の損失イメージ
2020年のコロナショックのような市場暴落(-30%)を例にします。単純に倍率をかけると、次のようなイメージになります。
| 暴落時の損失 | 回復に必要な上昇率 | |
|---|---|---|
| 通常ファンド(-30%) | -30% | +43%で元通り |
| 2倍レバレッジ(-60%) | -60% | +150%で元通り |
| 3倍レバレッジ(-90%) | -90% | +900%で元通り |
3倍レバレッジで-90%になると、そこから900%上昇しないと元本に戻れません。
ただし、これはあくまで単純計算です。レバレッジ型ファンドが目指すのは1日の値動きの2倍・3倍です。何日もかけて30%下がった場合は、途中の値動きによって、この表より大きくも小さくもなります。**「下落の幅が倍率の分だけ大きくなりやすい」**という方向だけ押さえておいてください。
私もレバレッジ商品で失敗しました
ポイント: 方向を外したうえに、「償還」で持ち続けることもできませんでした。 仕組みを知らないまま買った結果です。
ここまで仕組みを説明してきましたが、私自身も失敗しています。
昔、相場の下落に賭ける「ベア型」のレバレッジ商品を買ったことがあります。ベア型は、相場が下がると値上がりするように作られた商品です。
ところが、相場は予想と逆に上昇しました。結果は損失です。
さらに、値上がりを待って挽回しようとしたところで、その商品が償還(運用終了)になりました。取引はそこで強制的に終わり、「持ち続けて回復を待つ」という選択肢そのものがなくなりました。
この経験で分かったのは2つです。
- 相場の方向を当てにいく賭けは、外すと大きく損をする
- レバレッジ商品は、インデックスファンドのように「下がっても持ち続ける」が通用しないことがある
上で説明した逓減効果や暴落時の損失は、長く持つときに注意したいリスクです。私の場合は、そこに償還が重なりました。長く持つつもりでも、持ち続けられないことがある——これは、実際に経験するまで想像していませんでした。
初心者に向かない理由のまとめ
レバレッジ型ファンドが初心者に向かない理由は3つです。
-
損失が増幅される
日々の値動きが2倍・3倍になるので、利益だけでなく損失も大きくなりやすい -
逓減効果で長期保有に向きにくい
上下を繰り返す相場では価値が目減りしやすく、長期の積立投資には向きにくい -
精神的に耐えるのが難しい
価格変動が大きく、暴落時に冷静な判断が難しくなりやすい
また、新NISAの成長投資枠では、高レバレッジ型の投資信託(デリバティブ取引を用いた一定の投資信託等)は対象外です。金融庁は、NISAが安定的な資産形成を目的とする制度であることを踏まえた措置だと説明しています。
どんな人向けの商品か
レバレッジ型ファンドが全員に向かないわけではありません。
使うとしたら、こんなケースです:
- 投資の仕組みを十分に理解している中・上級者
- 短期的な相場の動きを利用したい場合
- ポートフォリオのごく一部(余裕資金の一部)で試す場合
ただし、これらの場合でも逓減効果を十分に理解し、リスク管理ができることが前提です。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 仕組み | 日々の値動きを2倍・3倍に増幅する |
| 逓減効果 | 上下を繰り返す相場では価値が目減りすることがある |
| 暴落時のリスク | 値動きによっては、通常のファンドより損失が大きくなる |
| NISA | 成長投資枠では、一定の高レバレッジ型投資信託等は対象外 |
| 初心者向けか | 向かない。長期積立にも向きにくい |
資産形成を目的とした長期積立であれば、シンプルなインデックスファンドを選ぶのが基本です。レバレッジ型は仕組みを十分に理解してから、余裕資金の範囲内で検討してください。
→ 実際にレバレッジ商品で失敗した体験を含む話はこちら:
投資歴10年の私が手を出さない投資6つ|レバレッジ・毎月分配で失敗した実体験から